日本人のマナー

先だってテレビで日本女子オープンゴルフの中継放映を観た。たしか横浜カントリークラブだったと思うが優勝したのはフォン・シャンシャンという中国人だった。心に残ったのはプレーそのものより沢山のギャラリーの観戦マナーだった。選手がプレーに入る時には水を打ったように静かになる。良いプレーには大きな拍手が湧く。選手も気持ちよくプレーに集中する。見ていて思わず画面に引き込まれるような気持ちの良い試合だった。十数年前、グラハム・マーシュというオーストラリアの強い選手がいて日本でプレーしていたが、彼がミスショットすると観客が拍手して喜んだ場面があって後味の悪い思いをした記憶がある。でも今は日本の観客も成長した。



領土問題でいま日本と中国は険悪な関係にある。中国では政府から一般人民に至るまで露骨な暴力的な反日運動が広がっていると聞く。中国には中国の言い分はあるだろうが「愛国無罪」という言葉を聞いて戦時中の日本のような嫌な記憶を思い出した。それに比べてこのゴルフのギャラリーのマナーは素晴らしく中国人プレイヤーに対する気配りや拍手は日本人プレイヤーに対するものとまったく同じだった。日本人は素晴らしいと誇らしく思った。もしこれが中国だったらどうだっただろうか?

領土問題も日中両国が冷静にマナーを守って紳士的に話し合って解決すべきだろう。日本も「領土問題は存在しない」と言うだけでは解決の糸口さえ見つからない。隣国が小さな問題でいがみ合っていたのでは双方に不利益をもたらすばかりだ。たかがゴルフと言うなかれ、国際問題も人と人との付き合い、お互いの信頼感があってこそうまく行くものだと思う。

日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905)

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