日本のチェンジと世界

どうせ誰がやっても同じだろうが一度民主党にやらせてみよう。こんな半信半疑で投票した人も多かったのではないか。ところが鳩山新政権が走り出してあっと驚いた。日本人だけではない。アメリカが世界が日本を注目し出したのである。


アジアに背を向けブッシュに思いきりすり寄った小泉政権の後、後継の安倍さんも福田さんも訪米を長く待たされた挙句ブッシュから冷たくあしらわれた。ある意味で日本は無視されたのだ。それが日米対等の同盟関係を公約して反米と警戒されたはずのの鳩山さんは首相就任から僅か10日でオバマ大統領と会談が実現した。またインド洋での自衛隊による給油活動中止を匂わす岡田外相もクリントン国務長官との友好的な会談に成功した。

ブッシュからオバマに変わったせいもあるが、この事実は長い自民党政権の対米従属姿勢にアメリカが必ずしも満足していなかったのではないか、意外にも民主党の日米対等外交を歓迎しているのではないかと思わせる。日本よりも急速に台頭しつつある大国中国に関心のあるオバマ政権はブッシュの一国主義から世界の多極化を認める方向へと舵を切ったと考えればこれは不思議ではない。アジアの事はアジア諸国の自主性に任せるとも考えられる。これまで日本の国際貢献と言えばほとんど対米貢献を意味していた。それがこれからは国連を中心とする国際貢献に変って行くのだろう。アメリカもブッシュの国連無視からオバマ大統領は国連重視に変りつつある。今度の国連総会ではオバマ大統領自身が議長となって国連安全保障理事会で核軍縮・不拡散をテーマにした首脳級特別会合を開いたという。

国連総会での鳩山さんの温室効果ガス排出25%削減は満場の拍手をもって迎えられた。これには「世界の主要国が大幅な排出削減の枠組みに参加する」という前提が含まれているが、これは日本がグローバルな問題で国際社会でのイニシアチブをとったことを意味している。称賛に値する素晴らしい出来事だった。戦後日本が国際社会の主役に躍り出たことは私の記憶に無い。経団連はこの削減目標に批判的であるが考えても見よう、ん十年前の自動車の排ガス規制を彼等は不可能と言っていたのである。

もう一つ国際社会でリ−ダーシップをとってもらいたい重要な事がある。核兵器廃絶である。唯一の被爆国として、核兵器を持たぬ国として日本はまさに適役である。オバマ大統領はすでに4月に唯一の核兵器使用国の責任において核廃絶を目標にすることをプラハで宣言している。それに称賛の文書をオバマ大統領に送ったのは日本共産党だった。当時の麻生政権は対応に消極的だった。民主党政権には是非この問題で世界の主導権をとってもらいたい。時は熟しているのだ。

政治家が政治をするのだから政治主導は当たり前である。官僚依存政治は今までの自公政権の政治家が如何に怠慢であったかを物語っている。外交問題でも脱官僚依存は重要である。長い間の習性で官僚には対米従属意識が染み付いている。経済面でも民主党政権円高ドル安を容認して従来のようなドルの買い支えはしないという。長い間国是のようにして来た対米従属に根ざした円安ドル高指向からの脱却である。こんな考え方もあるのだと驚く。金融経済界は非難しているが、考えても見よう、米金融崩壊、資源高騰の傾向にある現況では何時までも対米輸出一辺倒でもあるまい。

国内的にも自民党政権の残した負の遺産は山積している。鳩山政権の前途は多難だろう。でも政治に新鮮な展望が見えて来た。何よりも鳩山さんをはじめ各大臣が国内でも国外でも自分の言葉で喋っているは心強い。いま一番求められるのは国民の理解と後押しだろう。