貧すれば鈍す

先週12日の衆院予算委員会における自民党与謝野議員の鳩山さんへの質問には驚きとともに深く失望した。もう少しまともな良識ある人間だと思っていたからだ。ヤクザだとか平成の脱税王だとか口汚く鳩山さんを罵った。それだけでない、1年半も前の鳩山邦夫氏との会話で聞いたぼやきとして「兄貴はしょっちゅうおふくろのところへ子分にやる金をせびりに行っていた。おふくろから貴方は子分がいないわけ?と言われた」という話を暴露した。兄弟の絆を引き裂くようなこの発言は到底良識ある政治家とは思えぬ品格の欠如である。

さすがに色をなした鳩山さんは興奮して「まったくの作り話だ。兄弟と言えども信用出来ぬ。母に聞いてもらっても良い。」と叫んでしまった。

この言葉尻を捉えて自民党の谷垣総裁は90を超える高齢で病院にいる母親の委員会への証人喚問を要求するという。

マスコミには格好の面白いネタだろうが、大切な予算審議を放り出して検察が不起訴とした政治資金の問題に何時までもしつこくしがみつく自民党の姿には首をひねる。政治と金の問題は勿論重要だ。しかしそれはそれなりに適切な場所で冷静に前向きな議論をすべきだろう。

これが先だってまで日本の政治を動かし続けてきた元政権の姿である。「貧すれば鈍す」、これで政権奪回とはとんでもない。投げたブーメランはやがて自分のところに戻って来るだろう。自分はまったく潔白だと言える人が与謝野さんを含めて何人いるだろうか?