菅さんは何がしたいのか

菅総理の影が薄い。参院選の前に寝ぼけたように自民党の谷垣さんに追従するような形で消費税10%を口走って選挙に惨敗した。もっとも選挙の大敗の原因はこれだけではない。過去10ヶ月の民主政権の迷走に対する批判と受け止めるべきだろう。脱官僚、政治主導の根幹となるべき国家戦略室を作りながら何の機能も果たさなかった。菅さんは一体何をしていたのだろう?鳩山さんの普天間問題の渦中にあって副総理として何の発言もしなかった。そして総理大臣になるやすぐに辺野古案をアメリカに確約した。

民主党は敗れたとは言え獲得投票総数でははるかに自民党を上回っている。国民は自民党政治に戻ることを決して望んでいるわけではない。目立つのはみんなの党の躍進だが渡辺さんのアジェンダと称するものは脱官僚を軸とした去年の衆院選民主党が言っていたことに似ている。お株を盗られたようだ。実行力のない民主党、そんなところが国民に見透かされたのだろう。過半数を与えるには頼りない。ここで野党にたずなを引き締めてもらおうというのが今回の選挙で国民が下した審判である。

菅さんが総理になってスローガンとした「最小不幸社会」はその気持ちは分からぬではないがどこか消極的で自信のない表現にみえる。もっと国民に自信と勇気を与えるものであってほしい。「奇兵隊」などと言われても戸惑う。もっと具体的に率直で大胆なリーダーシップを発揮してほしい。

最近、伸子夫人が「あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの」という本を出版したらしい。まだ読んでないが、菅さん自身も「怖くてまだ読んでない」のだそうだ。



【追記】(7月24日)早速伸子夫人の本を取り寄せて読んだ。家庭内野党と聞いていたがどうして「家庭内アドバイザー」と言うに相応しい。総理大臣の人となりを総理夫人がこれほどあからさまに公にすることは珍しい。夫人はあとがきでこう述べている。”菅に世間の空気を送り込み、裸の王様にしないのが私の役目のひとつでしょうか。これからも日本一うるさい有権者であり続けたいと思います。” 菅さんが以前に増して身近になった。この本が参院選前に出ていたら選挙の結果は少し違ったかも知れない。ただ気になるのは逆説的なタイトルで、これではこの本を読まない人にはマイナスの印象を与えるかもしれない。

あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの (幻冬舎新書)

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