迷路を解く粘菌がイグノーベル賞に!

はてな?粘菌が迷路を解く!ああ、そうそう8年前だった。英科学雑誌Natureで読んで「なみへいのサイエンス」に紹介したのを思い出した。その日本人による研究が今年のイグノーベル賞を受賞したと先だっての朝日新聞に出ていた。

粘菌をご存知だろうか。単細胞のバクテリアだが環境が悪化すると集合して変形体とよばれる多核のアメーバ状の集合体をつくり餌を求めて動き回る。さらに環境が悪化すると子実体となり胞子をつくる。高校の生物で習う粘菌のライフサイクルである。

モジホコリという粘菌の変形体を図のような寒天で作った3cm四方の迷路に一様に生やす。そして迷路の入口と出口に食べ物を置くと、粘菌は行き止まりの壁から体を離して移動し入口と出口を結ぶ最短の道を繋ぐ形になる。この間8時間、実に効率良く迷路の問題を解くのである。「細胞によるこの驚くべき解決法は、細胞レベルの材料が原始的な知性を示せることを意味する」と著者の中垣さんはこの論文を締め括っている。

イグノーベル賞 (Ig Nobel Prize) とは、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞でノーベル賞のパロディ的な賞で、1991年に創設されたという。ふざけた賞という印象で今まであまり関心はなかったが、こんな真面目な研究に与えられることを知って満更でもない気がした。そう言えばたしか去年も牛の糞からバニラの成分であるワニリンを抽出した日本人女性に与えられたのを思い出した。

ところでこの面白い研究はその後の8年間でどんな進展があったのだろうか?この実験は細胞から細胞へ情報の伝達が行われている事を意味している。急に気になって来た。