エコとエゴ

はてな?「エコというものは決して辛抱とか我慢とかではない。楽しく快適なものである。」誰が言い出したのかこんなキャッチフレーズが流行った。なるほど心の問題として考えれば納得出来ないことではない。昔から日本にある「もったいない」の言葉には感謝の心が込められていて、それを言う人は幸せである。でもエコはビジネスチャンスとばかり金儲けの手段として利用しようとするエゴの人たちがいる。

その最たる人がアメリカのブッシュ大統領である。何と彼は国家戦略としてそれを行いアメリカのみならず世界を滅茶苦茶にしてしまった。バイオエタノールである。この問題については去年の4月に「なみへいのサイエンス」に書いた。なにしろ人間の大切な食料であるトウモロコシを石油燃料を使ってアルコールに変換し、それをクルマの燃料にするのだ。世界には8億という飢えた人々がいるというのに国益、つまりアメリカのエゴのために敢えてやった事だ。当時の日本の安倍首相がそれを支持したというのだからその無定見には驚く。アメリカに追従することが日本の国益と考える日本の政府は日本国民の利益は忘れているのだろう。

その結果何が起ったか?トウモロコシの価格は上がりアメリカの農業団体や石油業界は喜んだが、世界的にあらゆる食糧の不足と価格の高騰を招き世界経済の大混乱をもたらしてしまった。注目すべきは大統領のこの愚行が地球温暖化の環境問題に悪乗りして実行されたことだ。エコと称してエゴを追求した結果である。

これは一例に過ぎない。古くなった家電機器を廃棄するのに我々は何千円ものリサイクル料を自治体に払わせられる。多くの人は環境のためにはそれも意味のあることと割り切っているが、自治体のやる事は廃棄物業者に渡すだけである。業者が何をどれだけリサイクルしているかは明らかでない。中には中古品として海外に転売するアウトローもいるらしい。深刻な廃棄物の海外汚染である。そして最も腹立たしいのはリサイクル関連の数々の法人組織を作って天下り先を確保しているのは国や自治体の役人である。年に5000億円という税金がこの人たちのために使われているという。(武田邦彦、偽善エコロジー

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)

ここに挙げた武田さんの著書にはその他色んな項目にわたってエコの問題を論じている。大抵は否定的な見解が述べられているがデータ不足もある。私なみへいは必ずしもそのすべてに賛同する訳ではないことを申し添えておく。