トヨタのF1撤退の意味するもの

遅きに失した感はあるがやっとトヨタがF1撤退を表明した。F1レースの本家ホンダはすでに昨年撤退している(ホンダショック)。 これで日本の自動車メーカーは完全にF1レースから姿を消した。これは自動車産業にエポックを画する象徴的な出来事であると思う。

目一杯爆音を響かせ排ガスを撒き散らしてスピードを競うカーレースがエコの時代に逆行するのは誰の目にも明らかである。今やそれは悪と言ってよい。これからのカーレースは燃費競争、二酸化炭素排出低減競争、航続走行距離競争へとシフトして行くことだろう。



私は11年半も前にトヨタから生まれたばかりの世界初のハイブリッド車プリウスを手に入れて未だに愛用している。今ではプリウス時代の寵児で近く三代目が登場すると言うが、当時は自動車保険のセールスマンですらプリウスを知らなかった。私のプリウス10年についてはホームページに数編の記事としてまとめている(私のプリウス)。

三代目プリウスプラグインと称して家庭用の電気で充電出来るという。これはある意味画期的なことである。何故なら家庭用の太陽光発電と組み合わせればプリウスのバッテリーは非走行時には電気貯蔵庫として使えることを意味している。電気は電力会社、工場、オフィス、家庭を結ぶネットワークであるから、将来的に家庭やオフィスの発電の余剰電気を電力会社が買い取る仕組みを作ればCO2削減に大いに貢献することになろう。

ハイブリッド車ガソリンエンジンを共用するが、バッテリーの性能がより良くなれば将来的に電気自動車(EV)に移行するだろう。そうなると自動車の概念は一変する。製造も簡単だし自動車はテレビや洗濯機と同じ家電製品の一つとなる。自動車メーカーは家電メーカーと同列に置かれるわけである。これは静かな産業革命と言ってよい。未来への楽しい夢でもある。いや夢ではなく現に中国やインドでも電気自動車が市販されていると言う。

しかし非効率な化石燃料に頼る火力発電では意味が無い。夢への鍵はより効率的な太陽光発電装置の開発であり、効率的に電気を蓄える軽量電池の開発である。現在パソコン、携帯、カメラなどの電子製品にリチウムイオン電池が普及しているが、より効率的でより小型大容量の安価な電池の開発は必要条件である。生き残りをかける自動車メーカーは今やその方向へと技術開発をシフトしているに違いない。

化石燃料の時代は終った。これからは太陽、風、水力、風力、地熱などクリーンエネルギーの時代がやってくる。グリーンエネルギー(バイオ燃料)は太陽エネルギー利用の一形態と位置づけられよう。これは大きな産業革命である。鳩山内閣が打ち出した25%削減宣言には産業界を始め国内で色々な批判があるようだが、私は先見性のある野心的な提案だと評価したい。さすがは理科系出身の総理大臣である。

電気自動車が加速する! ―日本の技術が拓くエコカー進化形― (Tech live!)

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電気自動車は日本を救う

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